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機械の五感
製作元 空月
動作環境 Win Me/2000/XP
ゲームジャンル 近未来アンドロイドアドベンチャー
価格 フリーソフト
発売日 2006/02/28
あらすじ

機械の音がする。
少しだけ遠くで、人の話し声も聞こえる。
先ほどまで何の音も無かったのに、不思議だ。
「もう、目を覚ますぞ?」
はっきりと聞こえた最初の声は、それ。
目を覚ます、とは何のことだろう。
……もしかして、僕のことだろうか?
「判ってるよ! でも、しょうがないじゃん……」
弱った、という他の男性も聞こえてきた。
彼の方が少し遠くにいるらしく、機械の音に遮られるようで聞きづらい。
「大体、飲食禁止の場所でコーヒーをこぼす奴があるか?」
最初に聞こえた声が、また聞こえてきた。
2人目よりも、若干、低めの声だ。
「いや、でも機械にはかけなかったし……つーか、そんなに怒らないでよ……」
「まぁいい。さっさと着替えて来い」
「うん……」
話は終わったらしく、2番目に聞こえてきた声の主はドアの外へ消えたようだった。
……ドアの外?
だとしたらここは、何処だ?
疑問に思ったとたん、急に不安になった。
自分が今、何処に居るか判らない。
いや、待てよ……?
判らないなら、とりあえず目を開けばここが何処なのか『判る』はずだ。
僕は、ゆっくりと目を開いた。
目の前には機械だらけの部屋と、白衣を着た男性が一人。
僕が寝ているのは金属で出来たベッドのようなものだった。
「目が覚めたか。タイミングの悪い男だな、アイツも……」
あいつ、というのは先ほどの、もう一人の声の主のことだろう。
もしかして、床に散らばっている茶色い液体をこぼしたのはあの人なのかもしれない。
「ここ……どこ?」
口を突いて、そんな質問が出てきた。
確かに疑問には思っていたが、口に出そうとは思ってはいなかったのに。
なんだか思うように体が動いてくれない。
口だけではなく、起き上がるための腹筋も、支えるための腕もすべて。
「それは後で説明しよう……ふむ、ちゃんと動いているようだな」
彼は、観察するかのようにじっと僕を見据えてそういった。
……しかし、動いているとはどういうことだろう。
今度は、自分の意思で尋ねてみる。
「……うごいてるって?」
しかしその言葉に対する返答はなく、男はうーんと唸っただけだった。
「会話は微妙に遅れるか……まぁ、慣れるまでは仕方が無いな。どこか、違和感は無いか?」
「……違和感……? いや、別に……何処も……」
「……あの、それより……あなたは誰なんですか?」
当然の疑問だと思う。
なぜなら僕は彼のことを知らないのに、彼は自己紹介もしていない。
彼は僕を知っている風なのに……。
「……まぁ、それも後で話をしよう」
また、後で……か。
後とはいつなのだろう。
先ほどの男性が帰ってきた後、だろうか?
「はぁ……」
とりあえず、納得はしていないが返事だけはする。
これも自分の意思というよりは『しなければならない』という感じがするのは気のせいだろうか。
「話さなければならないことがあるんだが、この部屋は寒いからな……立てるか?」
「え、あ……多分……」
僕は座っていたベッドのような物からそっと立ち上がった。
その途端、足がぎしりと変な音を立てた。
……人間から自然に出るような音には到底聞こえなかった。
「なに今の音……?」
「最初のうちだけだ。すぐに鳴らなくなる」
「……そう……?」
最初のうちだけ、と言うのはどういう意味だろうかと思ったが、口には出さなかった。
しばらくぎしぎしと変な音が鳴り続けていたが、それもやがて鳴らなくなった。
「こちらだ、付いて来い」
ドアを開けて待つ彼について部屋を出る。
先ほどの部屋はずいぶんと寒かったが、廊下は若干暖かい。
と言っても寒いことには変わりないので、半分ほど出ている腕をさすりながら歩いた。
「あれ!? もう……起きちゃったんだ……」
男の発した声で、先ほどの部屋にいた人物だと判った。
こちらも、白衣を着ている。
そういえば、ここはなんだか……病院にも、研究所にも見える。
白衣を着ている人間がうろうろしていると言うのはその二つしか思い当たらないが、それだけでなく、雰囲気が。
よそよそしい、とでも言えばいいのだろうか。
「そっか……はじめまして、僕は怜人(ヒロト)、よろしくね」
「あ……よろしく」
名前……?
そういえば僕の名前はなんだっただろう。
……自分の名前がわからないと言うのは変ではないだろうか?
「……どうしたの?」
「あ、の……僕の名前って……なんですか?」
僕の奇妙な質問に、彼は笑ってあぁ、そうだった、と言った。
笑顔がすごく優しい人だ。
「『オトヤ』だよ。 音楽の音に、椰子の椰で、音椰」
「あ……そう……?」
「そう、いい名前でしょう?」
「う、ん……そうかも……?」
そう言ったがその名前にはまったく聞き覚えがなかった。
本当に僕の名前なんだろうか、と不安にもなる。
でも……
きっと僕の名前は『音椰』なんだろう。
彼の笑顔を見ていてなんとなくそう思った。
しばらく歩いたところにある部屋に通された。
こちらは本当に『研究所』と言うような部屋だった。
ここは、研究所、なのか?
辺りを伺っているとコホン、と言う軽い咳払いが聞こえた。
主は先ほどからまったく表情の変わらない、少し冷たい印象のある方の男性だ。
「そうだな、そこの椅子にでも掛けてくれ」
どうやらこれが言いたかったらしい。
僕は素直に頷いた。
「まず、僕の名前は新(アラタ)。この研究所の責任者だ」
「研究所……って、なに?」
「『アリーコーポレーション 人工知能研究所』と言うのが正式名称だ。まぁ、ここの人間はみな『研究所』としか言わないんだが……」
「人工知能って……あの自分で考えたりするロボットのこと?」
「あぁ、その人工知能だ。この研究所は機械で人間の脳と同じ物を作ろうという馬鹿げた研究をするために作られた」
無愛想なだけでなく、口もあまり良くないらしい。
「馬鹿げたって……責任者がそんな事を言ってもいいの?」
僕の当然の質問にも、少し首を傾げただけで表情を変えることがない。
「別に構わないさ。当初の目的と今やっている研究は大幅に違う」
「……じゃあ、今は何を?」
「人間の脳を機械で制御してアンドロイドへ搭載する研究だ」
「人間の……脳を……使って、アンドロイドを?」
とっさには理解が出来なくて、言葉に詰まってしまう。
僕が上を向いて考えていると今まで黙っていたヒロトさんが口を出した。
「つまり、簡単に言うと人間の脳を使って感情のあるアンドロイドを作る、って事」
僕に向かって優しく微笑みかける彼は、不安な僕にとってはとても良い人に見えてしまう。
実際、名前も良く判っていない僕にわざわざこの場所の説明をしているアラタさんだって良い人なのだろうけど。
「ねぇ、新の喋り方だとフリーズする割合が高いよ……もう少し砕いて話してあげてよ」
フリーズってなんだろう、と思ったが口には出さない。
特に理由はないが……なんとなく二人の会話を邪魔するのはなんだか気が引けたのだ。
「これでも砕けるだけ砕いているつもりなんだ……」
アラタさんがそっぽを向いてそう言うのをヒロトさんは肩を竦めて軽く流した。
「感情のある……アンドロイド……」
「そう、人間の長年の夢だ」
僕が小さく言った言葉に、アラタさんが反応した。
口元が少し笑っているように見えたのは気のせいだろうか?
「でも、人間の脳って……簡単に言ってるけど、人の脳を使ってアンドロイドなんて作っていいの?」
「この研究では最初からアンドロイドに搭載するために培養したヒトクローンの脳をを使っている。人間の脳を使うのは流石に人権問題で騒がれるだろうからな」
「まぁ、ヒトのクローンも倫理的にはあまり良くないんだけどね……」
「そんな事を言っていたら科学の進化なんてありえないさ」
「……この場所と、あなた達のことは判った。だけど、僕は……なんでここに居るの?」
僕の素朴な疑問に答えたのはアラタさんだった。
「君が、この研究所で作られた最初のアンドロイドだからだ」
「…………アンドロイド、って」
まさか……
「まさか、さっき言ってた……人間の脳を使ったアンドロイド……?」
「まぁ、そうだな」
そういえば、先ほど立ったときのおかしな音。
あれは、機械の音ではなかったか?
でも、こんなに普通なのに……アンドロイド……?
とても信じられる言葉では、なかった。

レビュー

 Cool-BVol.7の付録CDに収録されておりました。フリーゲームです。ナローバンドに優しい企画に乾杯!!!(号泣を垂れながら!!!)
 Cool-BVol.7に掲載されていた紹介文の苦悩するアンドロイド同士の純愛や切ない恋心を描く。という一文に惹かれました。登場人物の内面を丁寧に描写されていてなおかつモロ好みのテーマを扱っている作品だったので一気にフルコンプ致しました!こんなに面白いのに無料配布で良いのでしょうか。
 レッツ☆プレイ。 タイトル画面と音楽がとても良い感じです。
 ……フリーズ地獄変!強制終了&PCを再起動しなければ再びする事が出来ません。これは厳しい。ゥゥゥ……。なして?と思ったらば……対応機種が……Win/2000/Me/XPでした……。コリャ一本取られました!!!動くだけでも感謝しなきゃ駄目なのね!!!(泣)マイマシンを少し弄る。(システムリソース関係)+ネットに接続しなければ大丈夫っぽ……い?かな?
 強引にレッツ☆プレイ!
 読みやすい文章と美麗なCG!CG枚数差分無し30枚。システムは吉里吉里2を使って製作されているので快適そのもの!登場人物毎にセリフの色が違うので誰が何を喋っているのか分かりやすくてグー!細かい所まで凝っております!
 最初に主人公音椰(オトヤ)がどんな存在であるかの説明があるのですが分かりやすく描写してくれるのでSFに疎い私でも専門用語を理解する事が出来ました。……もっと本を読まなきゃ駄目だなァ……。と落ち込んでみたり!!!
 舞台は近未来。同性愛も普通に認められている開かれた世界です。
 主人公は自分という存在や自分の感情について葛藤します。そうして自分の事を不自然で不気味な存在だと思っています。ズッシリと重たいテーマです。
 最初に怜人(ヒロト)を攻略。選択肢少な目で簡単に攻略する事が出来ます。大ハッピーエンドにほのぼのした気持ちにさせられました。しかし製品化されたアンドロイド達の運命や如何に……。
 続きましてはアンドロイド仲間八生(ヤヨイ)ルートへゴゥ!!!こちらは選択肢多めでバッドエンドルートも多いです。打って変わっていきなりの大バッドエンドの数々にショッキン!!!(泣)(泣)(泣)2人のアンドロイド達の心の葛藤が切な過ぎる……。(泣)(泣)(泣)しかしながら2人共人間の都合に振り回されっぱなし……。人間同士だと色々な解決方法がある些細な問題でも人間対アンドロイドだと人間に従うという選択肢しか与えられていないアンドロイド達はどうしようもありません。これは悲しい!人の心を持ったロボットは必要あるのかどうなのか。重たいテーマです。……必要無いんじゃ……無いかなァ……。
 大ハッピーエンドは喜びのリバーシブル!お幸せにネッ☆(本気で!)
 主人公の音椰(オトヤ)は比較的選択肢の多い思想的に自由な暮らしをしているのですが八生(ヤヨイ)や特にほぼ完全にロボットな直江(ナオエ)は……。
 そうして主人公達に使われている脳味噌のヒトクローンの元もルートによってはガッチリ明らかになるのですが……それを踏まえると大ハッピーエンドもかなり複雑な気持ちに!そうして脳味噌を摘出された後のパーツってどうなったんだろう……。臓器移植に回されたのかな……。廃棄処分って事は無いと思うのですが……。想像して怖くなってしまいました。正直脳味噌使う人選間違ったんじゃ無いか。とか!!!
 ……。決して踏み込んではいけない神の領域を侵しております!!!
 バッドエンドはどれも人間の都合により酷い結末を迎えます。自発的にバッドはまだ納得が出来るのですが廃棄処分(反転!)はキツかったァ……。そ……そんなァ。
 そうしてかなり酷い環境で暮らしているのにも関わらず選択肢の全く無いであろう直江(ナオエ)の運命や如何……に……。(泣)それを不幸と感じなければ不幸じゃあ無いのでしょうか。
 しかし……。滅茶苦茶お金が掛かったプロジェクトっぽいのですが研究対象に簡単に手を出しちゃって上層部からお叱りを受けたりしないのでしょうか。&アンドロイドって射精出来るの?

● 音椰(オトヤ)
  『研究所』で開発されたアンドロイド試作機の1体目
  ヒトクローンから摘出した脳と機械脳によって思考している
  控えめでおとなしい性格
  アンドロイドである自分に嫌悪感を持っている

○ 怜人が主人。故に他の2人と比べて穏やかで幸せな環境で生活。機械脳の部分が一番少ない為色々考え込んでしまう。

● 怜人(ヒロト)
  『研究所』の副所長
  おっとりとしていて優しい性格
  アンドロイドのボディや機械脳の作成を担当している
  趣味は映画鑑賞

○ おっとり形の恐怖の大王。魔性の男……。

● 八生(ヤヨイ)
  『研究所』で開発されたアンドロイド試作機の2体目
  ヒトクローンから摘出した脳と機械脳によって思考している
  明るく、少し生意気な性格
  新に反発心を抱いており、彼の組んだプログラムの盲点を突こうと考えている
  趣味は読書

○ 新が主人。ルートによって境遇が大変化。

● 新(アラタ)
  『研究所』の所長
  一見無表情で冷たい印象を与えるが、本来は慈愛深い性格
  アンドロイドの機械脳に搭載するプログラム作成を担当している
  趣味は読書

○ 魔性の男の影響下より逃れる事の出来ない純粋な人。嫉妬心により研究対象を内面から破壊してしまう。葛藤の人生を歩みそうな気の毒な人。

● 直江(ナオエ)
  『研究所』で開発されたアンドロイド試作機の3体目
  思考のすべてを機械脳に頼っている
  主人に従い、自分の意見を表に出さない

○ 康文が主人。完全に高性能ラブドール化されてしまっております……。(合掌)

● 康文(ヤスフミ)
  『研究所』で働く研究員
  冷酷な性格をしており、アンドロイドを『人形』扱いをする
  元は芸術家、今はアンドロイドの外装の作成を担当している
  趣味は絵画

○ 魔性の男に今だドハマリ中!こんな人に大切な研究対象を預けて良いのでしょうか。

トラベルミン